音と悪臭
マンションのクレームで上位を占めるのは、音と臭いと結露です。 音のクレームの主なものは、上階居住者の生活音・モーター音・水道管の設備音でした。 生活音については、床と壁の遮音性に問題があると考えられます。 マンションの販売会社もこの問題には気づいていて、下の階の寝室の上に廊下やキッチンなどの“音の出やすい部屋”を重ねないよう にしたり、床板の厚さを大きくしたり、できるだけカーペット敷きにしたりするなどの配慮はしているようです。 最近は自然指向や健康指向でフローリングが好まれていますが、これらの場合、床板に遮音ゴムを張った衝撃音防止の対策がなされた ものでないと、衝撃音の問題は避けにくいので注意が必要です。 また、水道管のバルブを閉めたときなどに出る設備音に、“ウォーターハンマー”があります。 これは水圧が高いと生じるもので、配管の口径を大きくしたり、水量を絞って水圧を下げることで直せます。 放置しておくと、「機器のつなぎ目部分の寿命を縮める」恐れがあるので要注意です。 さらに、隣りと開口部が近すぎて窓から音が入るときは、防音サッシに替えることも一策です。 臭いや音についてのクレームは、原因をつきとめて改良工事を要求することになります。 しかし、こういう五感の問題は個人差が大きく、我慢の許容限界が異なるため、難しい論争になりがちです。
振動と揺れ
だいたい木造の建物はコンクリート造に比べて軟らかにできているものですが、日常生活で不安になるほどの揺れは問題です。 苦情や訴えの中で多いのは、狭少敷地に建つ木造三階建ての揺れです。 この大半は、建物の奥行きと間口寸法のバランスが非常に悪く、耐力壁の配置に偏りがあることが原因です。 ひどいものになると、「階段を上り降りしただけで建物が揺れる」という例もありました。 その中には、当然あるべき位置に必要な“構造材”がなかったり、途中で設計変更をしてバルコニーをつけたのが原因というものも何 例かあり、近所で道路工事をしたあとで揺れるようになったという例も見られました。 振動や揺れは、建物の構造や地盤に問題があることが考えられます。 簡易な耐震チェックの仕方もありますが、「床下や天井の隠れた部分の材料が適切か」「金物の補強はどうか」など、施工内容を確認 することが必要です。この問題は、建物の安全性に直接関係するので重要です。 ほかに建物の振動による問題もありますが、これは造の“複合要因”によるものです。 いずれにしても、調査と判断には専門家の力を借りるのがよいでしょう。
不具合全般
これは、あちこちに不具合がたくさんあるということです。 それぞれの内容は軽微でも、その数の多さによって、立派に欠陥といえるでしょう。 住宅を1軒建てるのに関わる職種は、ふつうの住宅でも2種ほどになります。 これらの職方にそれぞれ一つずつ小さなやり残しゃ不具合があったとすると、2カ所くらいのダメ工事が出ます。 だから、不具合個所が多いからといって、これは欠陥だとはいえません。 しかし、ダメ工事や建物の本質にかかわらないような軽微な不具合であっても、それがあまりに数が多い場合は、「工事の元請けの監 督能力に問題がある」という疑いが生じます。 とすれば、「ほかにも隠れた不都合がある」恐れが大きく、一種の欠陥と考えることができます。 つまり、「不具合な個所の量が欠陥という質に変わる」と考えられるわけです。
雨漏りと水漏れ
雨漏りには、雨が降れば必ず起こるものと、風向きによって起こるものがあります。 これは施工に問題があると見られますが、水の浸入場所の特定をしなくてはなりません。 屋根の下地に構造用合板を使うようになってから、屋根の雨漏りは、水の浸入個所と浸出個所がまったく離れてしまうこともあり、判 断が難しくなりました。 バルコニーの雨漏りは大部分が、「サッシのとりつけ部分の立ち上りの不足」か「サッシと外壁の接続部分をシールするコーキングの 不良」が原因です。 窓回りの雨漏りも、コキングの不良がほとんどといえます。 漏る場所の検査は、晴れた日が数日間つづいたあとにホlスで水をかける方法で行ないます。 外壁では、庇の出が短いと、壁と庇の隙聞から風の巻き上げ現象で吸いこむようにして漏れを生じることもあり、原因場所と現象場所 が直接結びつかないケースも多く見られます。 水は木造の耐力を損なう最大の原因なので、早急な調査と補修を要求しましょう。
ヒビ割れ
外壁でヒピ割れが生じるのは、仕上げがモルタル塗りやタイル貼りなどの場合で、原因は下地の不良や下塗りの乾燥不足などがほとん どです。 木造の場合、建物が揺れるのは当然と見て、その揺れによるヒピの発生を吸収できるようにあらかじめ考慮しておくのがふつうです。 いずれにしても0.3ミリ以上のヒピは雨水の浸入により下地や構造材料を傷めるので、補修を要求すべきです。 基礎のひび割れも気になる問題です。「基礎が建物を支える大切な部分である」ことは誰でも知っています。 そのためか、この部分のヒピ割れに対しては、ほとんどの人が神経質になっています。 しかし、基礎はたいていモルタル塗り仕上げをしているので、このモルタルが収縮して入ったヒピならそんなに心配することはありま せん。 これは叩いてみた音で判断できます。 軽く浮いた音なら仕上げ部分のヒピで、堅い音の場合には基礎本体にまでヒピが入っていると考えられます。 室内の壁のヒビもあります。 これは、下地のボドの継ぎ目に発生するケースが大半です。 「構造下地や下地のボードの収縮によるもの」や「止めつけが悪く、振動で動揺したこと」などが原因とみられますが、3カ所もヒビ が入ったという相談もありました。 この例は敷地が一部盛り土だったために建物が傾斜したことが原因だったようですが、軽微であっても数量が多くなった場合は、隠れ た重大な原因も考えられるので注意してください。